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余がこんぴゅうたの由来 (4) [余がこんぴゅうたの由来]

2024年3月19日、突然何の前触れもなく愛用のPCが立ち上がらなくなった。
電源を入れるとHDDの駆動音は聞こえるのに、起動ディスクが見つからない状態。
これはHDDがイカれたかも、と書き溜めていた原稿の消失もカクゴした。だが、
紆余曲折あって修理業者に持ち込んだところ、なんとその場で即解決!?原因は
HDDの接続ケーブルの不具合だったらしい。問題のケーブルを交換してもらい、
その日のうちに元通りに!もちろん、データも消えることなく原稿も全て無事♪♪


というわけで、

PC復活記念で2回分の記事を 順次大放出します。
まずは、「余がこんぴゅうたの由来」の4回目の記事からお届けします。





 「マイコンの登場」  その2


マイコンの登場とともに、そこに搭載されたOS―BASIC(ベーシック)が
広く普及していきました。インタプリタであるBASICは、開発言語であると
同時に命令を即実行できる身軽さも持ち合わせていました。
それに、
FORTRANによく似た仕様のBASICはまた、TOQにも馴染みが深い。
だもんで、自然とBASICにハマっていくことになるのです。。




近所のデパートの家電を扱うフロア、その一角の「マイコンコーナー」には、
各社の最新の機種のマイコンがズラリと並ぶ。
その中の1機種の電源を入れる。と、本体につながれたモニタが明るくなる。
次に、本体とカールコードでつながれたキーボードに手をかけ画面を見守る。

まずは、マイクロソフトBASICのクレジットが表示された後、画面が消え
再び画面の最上部に
How many files(0-15)?
と1行文章が表示されて、カーソルが点滅。
それを無視して「改行キー」を叩くと、「ok」と表示され、準備が完了する。

次に
AUTO 10
と打つと、行番号「10」の行でカーソルが点滅して。入力待ちの状態になる。

それからはBASICのプログラムをひたすら打ちまくり、1時間後くらいに
RUN
と打つ。すると、画面には打ち込んだプログラムが描く華やかな図形が現れる、
ハズだったのが、、
ビープ音とともに
Syntax Error on LINE xx
と表示され「あちゃーまた構文エラーか」とつぶやくハメになるっっっ




実はTOQはナイコン族でした。これは家にはマイコンがないにも関わらず、
BASICの知識は持っているので、その場の機種を使いこなせてしまう人たち
のことを指します。以前にも書きましたが、次々と創刊されたマイコンの雑誌に
掲載されたゲームのプログラムをその場で打ち込んでは、起動して遊びまくる!
ちゃっかり組がよくいましたね。


もっとも、彼らが打ち込んでいたのは「ダンプリスト」という16進で示された
マシン語のプログラムが大半。ゲーム起動時の入り口部分だけがBASICで、
そこからマシン語で書かれたゲーム本体へとジャンプするものでした。
 なぜって、マシン語で直接書いた方が圧倒的に処理が速いに決まってるから。
 ゲーセンのようにリアルタイムに動くものを再現しようとするなら当然です。
 その代わり、ダンプリストを見てもゲーム本体のプログラムがどう書かれて
 いるのかを理解することはできません。

それに対して、TOQはひたすらにBASICのプログラムで、当時のラリーX
のようなゲームの再現を目指していました。実際、自分の車体の他にレッドカー
の動きも同時に制御しなくてはならないので、かなり長いプログラムのリストを
手書きで作成。それを持参して1行づつ打っては、動きを確かめていました。


といって、BASICの解説本を持っているわけではありませんでした。最初は
見よう見真似で短いプログラムを組み、難しい機能は本屋でN88-BASIC
の文法本を立ち読み、その内容を覚えておいて、家に帰ってからノートにメモ!
その繰り返しで少しづつBASICの知識を増やしていったのです。

そんなBASICのプログラムってどんなものなのか、実際にお見せしましょう。


<BASICプログラムのイメージ>
今、手元にBASICが動くPC環境を持っていないので、実際にうまく動くか
保証はできませんが、当時よくマイコンコーナを立ち去るときに、打ち込んでた
プログラムのイメージです。色が7色に変わりながら、三角形を描くので客寄せ
にもなるかな~とプログラムを起動しておいて、TOQのツメ跡を残したのです。
一旦起動すると、無限ループで動き続けるので、止めるにはBreak(ブレーク)
キーを押して停止するしかないのですが、、

 ―もちろん、
  電源を落とせば消えてしまうので、短くて覚えやすいプログラムがベスト。
  このくらいのステップなら、暗記するのも容易です。

====================================
10 CLS
20 FOR C=1 TO 7
30 FOR X=0 TO 639
40 LINE (320, 0) - (X, 339), C
50 NEXT X
60 CLS
70 NEXT C
80 GOTO 10
90 END
====================================




さて、各社が出していたマイコンの場合、内蔵ROMBASICインタプリタ
が標準で搭載されていましたが、実はBASICそのものはROM化される前、
ワンボードマイコンの頃からすでにあったようなのです。
ただ、実際にその機能を実現するためにはかなり高いハードルがありました。


まずは、特定のマシン語で書かれた何万ステップに及ぶBASICインタプリタ
のコーディングリストを、1ヶ所たりとも間違えることなく正確に打ち込むこと!
次に、入力用のインターフェースにはアルファベットが打てるキーボードが必須!
あ、出力用はモニタディスプレイに文字が表示できると最高だね ってそんな環境
実現できた人は数えられる人しかいなかったでしょうね。
当時、海の向こうではすでにコモドールのPETなどの機種で、この環境を実現
していました。

対して、海のこちら側の日本ではまだマイコン夜明け前。TK−80以前の段階。
せめて、コーディングリストを打ち込むことなく、一気にロードできたらなぁ〜
という声が大きかったからかどうかは知りませんが、誰でも(?)BASIC環境が
簡単に実現できるようにしようとした試みがありました。

実際I/Oの付録で、たしかターゲットのCPUがモトローラの6800向けの
Tiny BASIC(タイニィ〜)のソースコードリストと、ロード用のプログラム
配布された号があり、TOQは持っています(今、お見せできないのが残念です)


えっ、プログラムをどうやって読者に配布したのかって?


カンサスシティタイプカセットインターフェースと呼ばれていた仕様に従って、
プログラムを音声データに変換したもの「ソノシート」に収録されていました。
その当時は、ソノシートが安価に配布できる唯一のメディア媒体だったのですよ。


ですが
これが後に、BASICプログラムをカセット販売するということにつながるのです。
標準でカセットインターフェースを装備しているのはシャープMZ−80Kだけ
でしたが、確かオーディオケーブルを接続すると、その他のマイコンでもカセット
からプログラムを本体にロードできたような気がします。

 カセットの再生ボタンを押すと、データの音声を聴くことができましたっけ。
 ピー~ヒョロヒョロヒョロヒョロ ガーッガガーッ
 で、ちょっと巻き戻して頭のピーのところで一時停止。本体の方から読込みの
 コマンドを投入。と同時に、一時停止解除。ただ、タイミングが悪いと
 Skip
 と表示されてうまく読み込めない!再びテープを巻き戻して、何度かやり直し
 Found xxxx
 と表示されたら、ようやく読込みが始まる。
 今思うとかなり、微妙なタイミングでしたね〜。




ところが、こんな風にBASIC主体だった時代はそう長くは続きませんでした。
出始めこそ、ごく一部の人がその価値を認めて手に入れていたマイコンでしたが、
5インチフロッピードライブが搭載されるようになり、ソフト販売が開始される。
最初はゲームばかりだったけど、独自辞書を持つ漢字変換ソフトなんてのも登場。

やがて、16ビットが主流になると、業務に使えるソフトがもっと充実してくる。
8ビットマイコンの時代はついに終焉を迎え、呼称も「マイコン」⇒パソコン
という言い方に変わっていきました。それと共に標準搭載されていたBASIC
もその役目を終えました。

同時に
デパートのPCの前にタムロしていたプログラムキッズたちの姿も消えたのです。


 (「マイコンの登場」 了)  (「職業プログラマーへの道」へと続く)
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